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進学・就職という進路が一般的

昼食時にパスタ屋で、おばちゃん二人組と相席になりました。

私はひとりだったもので、手持ち無沙汰でスマホをいじっていたら、おばちゃん達は子供の進路について話し出しました。

A:「○○(高校生2年生みたい)が整備士になりたいって言ってきて」

B:「本気なの?」

A:「どうも本気みたい」

B:「○○ちゃんは、前は△△(忘れましたが何かの職業)になりたいって言っていたし、来年になればまた違うことを言い出すんじゃないの」

A:「そうね」

B:「やりたいことがちゃんと決まっていないなら、大学に行かせたほうがいいよ。選択肢が広がるし」

A:「そうよね」

やりたいことが決まっておらず、みんなが行くからという理由で、何となく大学進学を選ぶ人は多いと思います。私もそうでした。大学に進学して、就職活動しながら、いろいろな業界を見て、自分にあっていそうな企業に就職するという流れです。

プロ棋士を目指す人は小学校高学年から将棋漬けの生活

プロ棋士になるためには奨励会という養成機関に入り、三段リーグを突破して四段になる必要があります。プロ棋士を本気で目指す人は、奨励会に入るのが小学校の高学年くらいで、そこから将棋漬けの生活に入ります。満26歳の誕生日を迎えるまでに四段に昇段できなかったら強制退会になってしまうので、プロ棋士になる人は10代、20代の青春を将棋に捧げるといっても過言ではありません。

奨励会で切磋琢磨して勝ちあがり、20歳過ぎに四段になってプロ棋士になる人が多いですが、早い人は中学生でプロ棋士になります。藤井聡太さんが史上最年少プロ棋士になることが9/3に決まり、将棋界は盛り上がっています。

9月3日(土)に将棋会館で行われました第59回奨励会三段リーグ戦(2016年4月~2016年9月)18・19回戦において、藤井聡太三段と大橋貴洸三段が四段昇段を決めました。最終成績は藤井三段13勝5敗、大橋三段12勝6敗の成績です。四段昇段日は2016年10月1日付となります。
藤井聡太三段の四段昇段年齢は、加藤一二三九段の14歳7ヶ月の記録を5ヶ月更新し、14歳2ヶ月で史上最年少プロ棋士誕生、また加藤一二三九段、谷川浩司九段、羽生善治三冠(王位・王座・棋聖)、渡辺明竜王に次ぐ5人目の中学生棋士となります。2002年生まれの21世紀棋士の誕生となりました。

引用元:新四段誕生のお知らせ *藤井聡太(史上最年少四段)・大橋貴洸

中学生で一生の仕事を決めてしまうというのは、すごいと思います。中学生で四段になった人は、みな大成していますね。人より早く四段に上がったということは、人より能力がある証拠なので、強いのは当然ですが、中学生で一生の仕事を決めた決意から来る強さみたいなものもあるのかもしれません。

有名な起業家は若い頃からチャレンジしている

今から40年以上昔の1973年夏、無名の日本の青年が二人、大志を抱いて海外へ旅立った。一人は米国へ向かうジェット機で東京から東へ、一人はシベリア鉄道でロシア・ナホトカから西へ。ほぼ満16歳の孫正義と22歳の澤田秀雄だった。

九州の一高校生の身で既に米国の大学への留学を強く希望していた孫は、夏休みを利用する語学研修のために米国を目指した。他方、少年時代から海外旅行を夢見てきた澤田は、高校卒業後も大学に進学せずにアルバイトに励み、その収入で貯めた資金を元に、4年後、欧州を目指したのだ。

先ず「二人の共通点は?」との問いには、即座に「高校生として、日本の大学への進学を目指さなかった決断だ」と私は答える。思いつきからではない。60年代前半の2年間、米国の大学での仕事を終えて帰国した私の目には、日本の大学はその時すでに、教育と経営の両面で明らかに病んでいた。そしてやがて、経済の急成長と政治の保守化という複雑な時勢が、「大学崩壊」という異常事態をもたらした。

引用元:孫正義と澤田秀雄が 商才を開花させた理由

ビジネスの世界でも、起業家は若い頃から問題意識をもって、早くからアクションを起こします。

チャレンジの先に

プロ棋士も、前述の起業家も、”とりあえず進学して、学生生活を過ごす中で何になるかを考えて会社に就職する”という既定路線から早い段階から外れます。

・みんな高校・大学に行くから行く

・将来の選択肢を広げるため、つぶしがきくように、とりあえず進学する

・いい学校を卒業して、いい会社に入る

といった思考はないのでしょう。情熱なのか、性格なのか、内から出てきて、とめられないものがあるのでしょうか。

大半の人は、やりたいことがあっても、ついついリスクを考えて尻込みしてしまうと思います。

・早くからみんなと違う道に進んで大丈夫だろうか

・もしプロ棋士になれなかったら(うまく起業できなかったら)、どのようになってしまうのか

という思考です。日本人は保守的で、リスクをとるより、石橋を叩いて渡る人が多いので、10代からチャレンジする人は少ないと思います。親や友人も、前述の会話のように、とめるでしょう。

小学校の高学年から奨励会に入って、プロ棋士を生業にするために、それに特化した生活を送るというのは、すごい決心だと思います(本人も親も)。もちろん途中で奨励会を自主的に退会して、普通に勉強して就職することもできますが、退会すると決心するのもなかなか難しいと思います。奨励会に入っていないので気持ちは分かりませんが、私の周りには法曹をめざし、司法浪人を何年もしている人がいるので、あきらめるのが難しい気持ちは少し分かります。

挑戦後のバックアップ(第二の人生)、敗者復活の機会、チャレンジを尊重する文化(減点主義からの脱却)、セーフティネットがあれば、もっと挑戦する人が増えるかもしれません。「大学に行かせたほうがいいよ。選択肢が広がるし」といった発言が少なくなるかもしれません。大企業がつぶれる時代ですし、たった一度の人生、リスクをおそれず、やりたいことを思いっきりやるのもいいですね。

今回挙げた人は成功者ばかりです。もともと能力があった、やりたいことが見つかったからできたとも言えます。安易に真似するのは危険ですが、この文章を書いていて、少しのチャレンジはしてみたいなと思いました(笑)

 

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