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努力を継続できる力

プロ棋士のトップに君臨し続ける羽生三冠。ひょうひょうとしていますが、かなりの努力家です。

長年トップ棋士として君臨し続けてきた羽生さんならではの発言も名言として注目され、将棋ファン以外にも知られています。NHKの人気番組『プロフェッショナル 仕事の流儀』に出演した際には「才能とは、努力を継続できる力」という言葉を残しました。天才と言われ、努力よりも、生まれつきの才能で将棋が強くなったようなイメージで見られることもあった羽生さんは、実は努力の人です。

引用元:注目される羽生善治さんの強さと名言

進路で紹介しましたとおり、プロ棋士を目指す人は、小学生のときから厳しい世界で日々勝負します。そこで勝ち上がって実際にプロ棋士になった一握りの人は、ものすごい才能がある人であり、かつ尋常ではない努力をした人だと思います。そのような猛者が集うプロ棋士の世界で、高い勝率を維持し、数々の記録を打ち立てた羽生三冠のいう努力とはどのようなものなのでしょうか。

20年前、史上初の7つのタイトルを、26歳で手にした羽生善治。しかし、当時、互角の勝負を繰り広げ、29歳で亡くなった村山聖を紹介。

1998年8月8日、村山の容体が急変。意識が遠のく中、村山は誰かと対局を始め、進行を呟きながら亡くなった。29歳だった。その訃報に際して羽生は、雑誌に村山との思い出を綴っていた。大阪で偶然会った村山に、行きつけの定食屋を案内してもらった羽生は、将棋のこと、好きな本や映画のことまで楽しく話を聞いたが、その帰り際、どこかへ向かう村山に行き先を尋ねると「これから将棋の勉強をする」と答えたという。そして羽生は、「毎日の訓練は当然のようで、現実として続けるのはとても難しい」とした上で、「彼は本物の将棋指しだった」と村山を評していた。

引用元:土曜プレミアム 栄光なき天才たち~名も無きヒーローに学ぶ幸せの見つけ方~

努力をし続けている人だからこそ、その難しさが分かるのだと思います。死が迫っている中でも、将棋の勉強をし続ける村山さん。村山さんは羽生さんと並ぶ天才かつ努力家です。

日々の努力が成功につながる

ビジネスの世界でも、努力の逸話は多数あります。”365日休まず働いた” ”食事中も仕事をした”といった有名経営者の発言を聞いたことがあります。

松下幸之助は、松下電器産業(現パナソニック)の成功について、明確な計画性によるものというよりも、「その日その日を充実してやっていたら」いつの間にかそうなっていたと繰り返し述べています。

信長、秀吉、家康の性格を表すためよく引用されるホトトギスの句について問われた松下幸之助は、自分なら「鳴かずんば、それもまたよしホトトギス、やな」と答えました。そうした気持ちで自然の流れを否定せず、ただ一日一日新たな発展を目指して努力を続けることが大切なのです。

引用元:日々の発展を模索 努力の継続で光明を

努力したら誰でも成功するわけではないですが、成功した人はみな努力しているというのは真だと思います。

では、どのようにしたら努力を継続することができるのでしょうか。

努力を継続する方法

インターネットで”努力を継続する方法”を検索すると多くの記事が出てきます。現実的な(小さな)目標を設定して、達成したら自分に褒美を与えるといったアプローチから、毎朝決まった時間に5分行うといったtipsまで、いろいろ出てきます。努力をし続ける力(コツコツやる力)は先天的な才能か、それとも後天的に身につけられる力なのかといった議論もあります。洋の東西を問わず、努力に関する格言は多数あります。努力を継続することが、いかに興味のあるテーマ、みんなが悩んでいるテーマであるかが分かります。

努力を継続する要素はいろいろあると思いますが、精神的な面では、欲望がキーになると思います。金銭欲、食欲、権力欲など、欲はいろいろあります。いい高校に入るという欲のために毎日勉強をがんばるというように、欲は、努力するモチベーションに繋がると思います。アメリカの心理学者であるA.マズローは、欲求を階層的に分類しました。生理的欲求が満たされたら、安全の欲求が生まれるというように、人は低階層から順に欲求を満たしていくという考えです。

 

A.マズローの欲求段階説

○生理的欲求(physiological need)
生きていく上で欠くことのできない食欲や睡眠欲などの、本能的・根源的な欲求。

○安全の欲求(safety need)
病気や事故などの命に関わる危険を回避し、生命の安全・安定を獲得しようとする欲求。

○所属・愛の欲求(social need/love and belonging)
会社などの集団に所属していたい、他人と同じことをしたい、家族から愛されたいなどの集団帰属の欲求。

○自我の欲求(esteem)
自分の所属する集団から自分の価値を認められ、他人から尊重されたいと思う欲求。

○自己実現の欲求(self-actualization)
「自分はこうなりたい!」と思い、そのために自分の持つ能力や可能性を発揮し、理想を実現したいと思う欲求。

引用元:ストレスを食に向かわせない方法

私は、いつか英語が必要になると思って、社会人になってからたびたび英語の参考書を買いましたが、三日坊主で続きませんでしたが、あるとき海外出張で、英語でプレゼンする機会があり、それが決まってから出張するまでの数ヶ月間は、帰宅後の英語の勉強をある程度続けることができました。必要にせまられたら力が入ります。プレゼンを失敗したらまずいという気持ちでしたので、安全の欲求でしょうか。



成功者、トップに立つ人は、自分の欲望をどんどん満たしてきた人だと思います。最上位にある自己実現の欲求をベースに、さらなる高みを目指して、努力を続けているのでしょうか。あくなき欲望を持つ成功者、起業家は多い気がします。ソフトバンクの孫正義社長は、2017年8月に予定していた退任を2016年6月に撤回し、2016年7月には3兆円以上かけて英半導体大手のアーム・ホールディングスを買収しました。億万長者になってもバリバリの現役です。

羽生さんが欲について語った記事がありました。

若手に負けが込むようになった今、30年の棋士人生で一つの分岐点を迎えている。そこには年齢を重ねて来るにつれ、強くなったこんな思いがある。

「欲は大事ですよね。勝ちたい気持ちはもちろんあります。ただ、強く思わないほうがいい結果に結びつくことを経験則で知っている。それも、欲と言えば欲なんですね……」

すると、意外な話を始めた。

「去年、『(松岡)修造カレンダー』がすごく売れたじゃないですか。何でだろうって考えてみたんです。やっぱり、自分も含めて日本人は、強い自我とか気持ちを前面に出すことが弱いんですよ。自分で欲を抑えてしまって、持ってる力を発揮しきれない。

日本人のメンタルの欠けてる部分をあのカレンダーは補っている。結局、最後の最後、何で決まるのかと言ったら、自我の強さとか、欲の強さみたいなものが大事なんじゃないかなと。そういう思いは、若い頃より強くなってきました」

引用元:羽生善治45歳「負けることもある、それが人生」密着ロングインタビュー

先日リオオリンピックが終わりましたが、”最後は勝ちたいという気持ちが強いほうが勝つ”と言っていた選手もいました。

欲を前面に出した羽生さんの将棋を見てみたいです!

 

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