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将棋とビジネスの共通点(捨てる勇気) で書いたとおり、将棋の世界もビジネスの世界も捨てる勇気、やらないことを決める勇気が大切です。しかし、言うは易く行うは難しで、頭で分かっていてもなかなかできません。どのようにしたらできるようになるのでしょうか?

詰将棋とは、将棋のルールに基づいた問題(一種のパズル)である。

詰将棋では、将棋盤に置かれた駒と持ち駒が提示され、その状態から王手のみを繰り返し、相手がどう対応しようとしても相手の王将を詰めるような手順を見つければ正解となる。普通の将棋で禁止されている手(二歩、打ち歩詰め、行き所のない駒、千日手)は詰将棋でも禁止。

うまく詰められるよう駒の使い方を考えることで、実戦にも役立てられる。一方、「王手のみを繰り返す」という条件があるため、実戦向きな手筋のみならず、実戦ではあまり見ない意外な手を使う場合も多く、妙手の発見こそが詰将棋の醍醐味であり、本将棋以上に、その魅力に取り憑かれる人も少なくない。

下に、古くから知られる詰将棋の例を示す。3手詰め(自分が動かす→相手が動かす→自分が動かす、の両者合計3手で詰む)。

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これは▲5二馬△同銀右▲6二銀打(△同銀左でも▲4二銀打)と、馬を捨てることで詰む。詰将棋はこのように、うまく駒を捨てることがキーポイントになっていることが多い。

引用元:ニコニコ大百科

詰将棋は、王手を繰り返して相手玉を詰ませる手順を見つけるゲームです。上記例にあるとおり、自玉はないので、守りは意識する必要がないです。とにかく攻めを繋いで、相手玉を取ればよいです。詰将棋を解くためのポイントは、うまく駒を捨てることなので、駒を捨てるトレーニングになります。

大駒を捨てることはもったいないので、上記例でも、最初に持ち駒の銀を相手玉の頭にはって王手をかけてしまいがちですが、それでは詰ませることができません。答えにあるとおり、最初に馬で王手をかける必要がありますが、これは勇気がいりますよね。大駒を犠牲にすることで、詰みが見えてくる詰将棋の問題は多々あります。詰将棋は、駒を大胆に捨てるトレーニングにうってつけです。

「終盤は駒の損得より速度」という将棋の格言があるように、実戦でも終盤は大駒を犠牲にして、駒損してでも相手玉にどんどん迫ることが勝つためのポイントです。大駒を大胆に切って詰ませることは快感で、終盤戦の醍醐味でもあります。

ビジネスでも同様に、捨てることが重要と分かっていても、なかなか実践できません。たとえば、新規事業計画を作成してみたら、総花的になってしまったという経験がある方も多いと思います。ターゲットを絞って攻めようと思いつつも、限定することの怖さもあり、大胆に絞り切れません。

一般的に事業計画書には以下のようなものを書くと思います。

  • 新事業のねらい
  • 市場分析
  • SWOT分析
  • 戦略
  • ビジネスモデル
  • 既存事業とのシナジー
  • 実行体制
  • 競合分析
  • リスク
  • 財務計画

総花的にならないようにするためには、やることだけを書くのではなく、やらないことを書く必要があります。やらないことを書くことで、戦略が明確になり、やりたいことが際立ちます。事業計画書テンプレートに「やらないこと」という頁をあえて設けるのも手です。捨てること、やらないことを決めることを意識できます。

「QCDを守ること」という方針を掲げているプロジェクトを見ることがありますが、これは戦略、行動指針として成立しません。目標としてはいいですが、問題が起こったときに立ち戻る、何かあったときに拠り所とする方針としては機能しません。Q(Quality:品質)、C(Cost:金)、D(Delivery:納期、スケジュール)はトレードオフの関係にあるので、問題が起こったときに全部を満たす対策を取ることは困難です。

「Dが最優先」という方針なら、何か起こったときにQとCを犠牲にして、Dを死守する行動を起こすことができます。QCDはどれも大事で、捨てることはできないですが、方針として機能させるためには優先順位をつける必要があります。すべてに同じ力をかけるのではなく、優先順位をつけて物事を進めることも大事です。

毎朝その日にやるべきこと、やりたいことをリストアップしても、予定どおりにいくことはあまりないと思います。やるべきことに優先順位をつけておけば、想定外のことが起こったときにバタバタせず、優先順位の低いものを捨てることができます。

ビジネスでもうまく捨てることが成功のキーです。全部を求めたら、全部を手に入れられなくなる可能性があります。何が大事か、何を捨てるかを意識することが成功に繋がります。

詰将棋の本は多数出ています。「詰将棋パラダイス」という月刊誌も有名ですね(羽生三冠も購読しているようです)。詰将棋を毎日解いて、捨てる力を磨き、終盤勝ち切れるようになりたいです!

まずは3手5手詰めから、いかがでしょうか。


3手5手詰パラダイス詰みの力を倍増させる200題 [ 詰将棋パラダイス編集部 ]

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